第54話 鬼退治。
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは。
Dkichiです。
アルバイトの帰り道。
紫色のヘッドフォンを頭につけ歩いていた。
やけにうるさい。
ボリュームがいつもより大きい。
そんなことはない。平常運転だ。
自分の心中が静かなのだ。
お通夜よりも静寂を保つその空間は何処と無く自分の疲労感を明確にする。
駐車場に止まる1台の赤い車に目をやる。
ドイツ御三家の自動車メーカーの1つであるその外車は光を放っている。
赤い光沢に磨かれた表面。
滑らかな曲線を描くスリムなボディライン。
スリムさの中にある豪快な内装は隠れ巨乳のように思えた。
そんなことを考えているとガードレールの下に1匹の猫を見つけた。
暗がりの中で存在感を発揮するその眼は今の僕と対照的な存在だ。
目が合うと遠くへ走り去っていった。
お前が俺と合うのはまだ早いと言わんばかりの走りっぷりに
嫌悪感と憎悪感、すこしの嫉妬を覚えた。
少し走ってみた。
長いこと運動していなかったのに何故だか息があがらない。
全力疾走。
いや、全力失踪。
それでは、ごきげんよう!